UJS日本語学校では、2026年9月28日、教職員を対象とした校内FD研修を実施しました。
今回のテーマは「ルーブリック評価」です。
講師には、都内公立小学校の主幹教諭で、東京都教育委員会教育研究員としてルーブリックの実践研究にも取り組まれてきた小清水 孝先生をお迎えしました。
今回の研修では、学生の日本語力を単に「評価する」のではなく、評価をどのように次の学びにつなげていくかについて、講義とグループワークを通して考えました。
■ 点数だけでは「次に何をすればよいか」が分からない
例えば、学生がスピーチをして「78点」と評価されたとします。
しかし、それだけでは、
「何がよかったのか」
「何が足りなかったのか」
「次は何を改善すればよいのか」
までは分かりません。
今回学んだルーブリックは、評価の基準を具体的な言葉で示すものです。
研修では、ルーブリックについて「評価のものさしを言語化したもの」と説明されました。
これまでの、
学ぶ
→ 教師が評価する
→ 点数・評定が返ってくる
という評価から、
「何を目指すか」を知る
→ 学ぶ
→ 自分で振り返る
→ 教師も評価する
→ 次に何をすればよいか考える
という評価へ。
学生自身が「今、自分はどこにいるのか」「次に何ができれば一つ上へ進めるのか」を理解できるようにすることが、ルーブリックを活用する大きな意味です。
■ 教職員自身がルーブリックを作成
研修では説明を聞くだけでなく、UJSの教職員がグループに分かれ、実際にルーブリックを作成しました。
テーマは、日本語教育における「話す」力です。
「この段階では何ができるのか」
「一つ上の段階では、何ができればよいのか」
教職員同士で意見を出し合いながら、具体的な評価基準を言葉にしていきました。
また、評価基準を学習の最後に示すのではなく、学習の初めに学生と共有することの重要性についても学びました。
さらに、ルーブリックの活用に慣れてきた段階では、教師がすべてを決めるのではなく、学生自身がルーブリックづくりに参加する方法もあります。
研修では、「最高レベルを意図的に空けておく」「教師の仕事は『問う』こと」という考え方も紹介されました。
教師が答えをすべて与えるのではなく、学生自身が「さらに上のレベルとは、どのような状態だろう」と考えることも、大切な学びにつながります。
■ 評価は、学生だけのものではない
今回の研修で特に印象的だったのが、
「そもそも、評価は何のためにあるのか」
という問いです。
研修では、評価には、
「学習者のための学習改善」
と、
「指導者のための指導改善」
という二つの役割があることを確認しました。
学生に評価をつけて終わるのではなく、
「この学生が次の段階へ進むために、教師は何ができるのか」
を考える。
学生の評価結果は、同時に私たち教師自身の授業や指導を振り返る材料でもあります。
評価表を作って提示するだけではなく、学生が次のレベルへ進むために、教師がどのような働きかけをするのか。
研修では、この「教師行動」の重要性についても学びました。
指導
→ 評価
→ 次の指導
評価をゴールにするのではなく、次の学びのスタートにすることの大切さを、教職員全体で改めて考える機会となりました。
■ 「技能」だけでなく、「学びに向かう力」を
今回の研修で、UJSにとって特に大きなテーマとなったのが「学びに向かう力」です。
日本語学校では、
「JLPTに合格した」
「語彙や文法を身につけた」
「聞く・話す・読む・書く力が伸びた」
といった、日本語の「技能」に目が向きやすくなります。
もちろん、日本語力を伸ばすことは大切です。
しかし、学生が卒業後も成長していくためには、それだけではありません。
自分で目標を立てる。
自分の現在地を振り返る。
自分で課題を見つける。
分からないことを自ら学ぶ。
周囲の人と学び合う。
研修の最後には、小清水先生からUJSに向けて、
「UJSの学生がもっと輝くために、『技能』だけでなく、『学びに向かう力』についてもルーブリックを!」
という提案をいただきました。
これは、今後のUJSの教育を考える上でも大切な視点です。
■ 「先生だけが先生ではない」
研修では、教師の役割についても考えました。
教師がすべてを教え、一人ひとりを教師だけの力で成長させようとすることには限界があります。
学生同士が教え合う。
学生同士が学び合う。
誰かに説明することで、自分自身の理解も深まる。
研修では、「先生だけが先生ではない」という考え方も共有されました。
教師の役割は、知識を一方的に伝えることだけではありません。
学生同士が自然に学び合える環境をつくることも、大切な役割の一つです。
UJSでも、こうした「学び合い」が生まれる授業づくりをさらに進めていきたいと考えています。
■ 学生の「次の一歩」が見える教育へ
今回の研修を通じて、ルーブリックは単なる「採点表」ではなく、「学生と教師が、目標・現在地・次にすべきことを共有するためのもの」であることを改めて学びました。
大切なのは、評価して終わることではありません。
「次に何ができるようになればよいのか」
を学生自身が理解し、次の学びにつなげること。
そして教師も、学生の評価を通じて自らの授業を振り返り、次の指導につなげていくことです。
UJSではこれからも、教職員自身が学び続けながら、日本語の「技能」だけでなく、学生一人ひとりの「学びに向かう力」を育てる教育に取り組んでいきます。





